2018年の政府による副業容認から1年を経過し、企業による副業解禁も広がり始めています。

副業を希望する個人も徐々に増え始め、それを後押しする環境が整いつつあります。

 

ところが、まだ一部の企業では、そんな動きを冷ややかに見ている現状もあるようです。

 

本記事では、副業への取り組みによって生まれる会社員と企業側の間で生まれるギャップについて考察してまいります。

 

●本記事の内容

・日本の産業の歴史から分かる副業解禁の背景を解説

・企業で働く会社員の副業への意識と実態

・副業に対する企業側の考え方と対応

・会社員が副業へ取り組むメリットとデメリット

 

この記事を書いている私も、かつては企業で勤めていながら副業をしていた経験があります。

副業解禁以前の2006年頃から始めていました。

現在は、副業をきっかけに様々な仕事へ取り組んでいます。

 

2018年政府が副業禁止から解禁へ方針転換

 

2018年1月に政府がモデル就業規則を改革しました。

その内容は、

旧:「許可なく、他社の業務に従事しないこと」

新:「勤務時間外に、他社の業務に従事できる」

就業規則をどのように定めるかは企業それぞれの方針に委ねられますが、政府が示す基準が変わったことで、世の中の基準も副業に従事する流れになっていくと見られていました。

 

副業解禁の背景は構造産業の変化によるもの

なぜ、国や企業が副業解禁へ舵を切り始めているのか?

その背景には、日本の構造産業の変化による影響が挙げられます。

 

日本の経済を支えた高度経済成長期には自動車や家電製品を中心に製造業が伸び始め、経済の中心となりました。

そして、製造業の生産に合う雇用形態が重視されていくようになります。

 

工場をフル稼働し、日夜を問わず、長時間労働や単身赴任など従業員が会社に尽くすことで企業の事業が成り立っていきました。

もちろん、副業禁止もその理由です。

そして、家庭でも家事や育児は女性が引き受ける役割が確立されていきます。

 

こうした従業員に対して、企業は「終身雇用」、「年功序列による賃金アップ」、「解雇規制」などの褒美を約束していたのです。

従業員はこれらの約束手形に企業に忠誠を誓うのです。

企業と個人は御恩と奉公の関係と言えるでしょう。

 

この仕組みによって、日本は世界でも指折りの経済大国となりました。

 

しかし、バブル崩壊以降長引く不況で日本の企業は勢いを失います。

そして、世界経済の中心も日本の製造業からアメリカのGAFAを中心とした情報産業へとシフトしていきました。

※GAFAとは、「Google」、「Amazon.com」、「Facebook」 、「Apple Inc.」の4つの主要IT企業の頭文字を取った総称

 

こうした時代の流れにより、大企業でさえも、早期退職の募集や終身雇用の終了が広がってきているのです。

 

この流れからすると、国の解雇規制の緩和も時間の問題ではないでしょうか。

 

つまり、企業は従業員を守れなくなってきているのです。

従業員への褒美が約束できない以上、副業禁止にする理由はなくなってきているのです。

 

●今までの企業と従業員の関係性

従業員からの奉公

・長時間労働

・転勤・単身赴任

・副業禁止

企業からの御恩

・終身雇用

・年功序列による賃金アップ

・解雇規制

 

しかし、企業からの御恩がなくなっているにもかかわらず、企業に奉公し続けている従業員が多いのが実情です。

御恩が無いのに企業に従い奉公し続けるのは、単なる搾取です。

これでは、企業と従業員の関係はフェアではありません。

 

このことに、早く気づいた人たちは、フェアで現代に合う職場環境を求めて動いています。

 

これからの時代は、国や企業に頼らず、個人が個人を自ら守るための自助努力が求められるのです。

 

【副業解禁企業は5割】 企業で働く社員個人と企業側の間で生まれるギャップ

2019年5月20日の日本経済新聞社の発表では、東証1部上場などの大手企業にアンケートを実施して回答を得られた120社のうち約5割の企業が従業員に副業を認めていることが分かりました。

働き方改革の一環として、企業が副業を解禁する動きが進んでいます。

 

副業を解禁する企業の本音

今、各企業が続々と副業を容認し始めています。

その理由に「従業員の見識を広めるため」、「本業にも活きるから」など様々な理由を挙げています。

 

たしかにそれも一理あるでしょう。

しかし、最大の理由は「従業員を守り切れない」ことではないでしょうか。

 

副業解禁の理由には企業の本音と建て前が見え隠れしています。

 

企業で働く会社員の副業の実態

副業が広がるなかで、働く会社員はの副業の実態はどうなっているのか。

まだまだ副業へ取り組む環境が整備されていない企業も多いようです。

 

リクルートワークス研究所の調査結果によると、副業をしている人は全体で1割程度しかいない状況です。

非正規社員で見ても、全体の2割弱。

 

なぜ副業を希望する人が8割以上もいるのに、実際に副業をしている人が1割程度なのか。

それは、企業側の副業に対する消極的な容認姿勢にあるようです。

 

副業に対する企業側の対応

※リクルートキャリア「兼業・副業に対する企業の意識調査」資料より

 

2018年のリクルートキャリアの調査では、副業を容認している企業は3割程度(前年2割)で、禁止している企業はおよそ7割でした。

企業が副業を禁止する主な理由として

・社員の長時間労働を助長する(44.8%)(前年55.7%)

・労働時間の管理が困難(37.9%)

・情報漏洩のリスク(34.8%)(前年24.7%)

 

今後副業容認を検討しないと答えた企業も8割に達しています。

 

しかし、今は副業への容認が消極的でも、今後は容認する企業が増えてくると見られます。

その理由は

・優秀な人材ほど様々な分野にチャレンジし視野を広げスキルを磨こうとする

・副業を禁止したままだと優秀な人材の確保が難しくなる

 

今後、企業のスタンスの変化が副業拡大のカギといえるかもしれません。

 

会社員が副業へ取り組むメリットとデメリット

※リクルートワークス研究所「全国就業実態パネル調査2017」資料より

 

2017年のリクルートワークス研究所の調べによると、正社員も非正規社員も副業の年収が20万円未満(1.6万円/月)が多いということが分かります。

 

しかし、注目してもらいたいのが年収の高い人。

本業の年収が高い人ほど、副業の年収も高く、正社員で年収500万円以上では、2割近くの人が副業の年収100万円以上(8.3万/月)となっています。

 

これは本業の年収が高い人ほど、副業の収入も高くなると見てとれます。

つまり、高いスキルを持つ故に、本業の年収が高い人が、副業でもそのスキルを生かして高収入を得ているのです。

 

仮に、副業の収入が思うように伸びなくても、そこで得たスキルと経験が本業に生かされ、本業の収入がアップすることもあります。

 

会社員が副業に取り組むことで、以下のメリットがあるのです。

会社員が副業に取り組むメリット

・収入アップ

・知識とスキルが広がる

・社内の本業に生きる(相乗効果)

・個人の実績として市場に評価される

 

一方、会社員が副業を取り組むデメリットもあります。

会社員が副業に取り組むデメリット

・長時間労働になりがちになる

・本業に支障になることも

・セルフマネージメントが必要となる

 

今までの本業は会社の管理の中で仕事できる環境にありました。

それが、副業となると、管理は会社でなく、自分で管理することになります。

 

副業することによって、長時間労働となり、寝不足や本業への支障となったりするかもしれません。

また、社内から「○○さんは最近副業に夢中だから・・・」と嫌味を言われ、精神的なダメージを追う人もいるかもしれません。

 

しかし、先ほどもお伝えした通り、企業が従業員を守り切れなくなった今、人が企業への依存から抜け出し、自助努力をしていかねばなりません。

副業への取り組みもその1つの選択肢となるのではないでしょうか。