テレアポや営業ではお客様からの断りは避けられません。
そこで、多くの営業担当やアポインターはお客様からの断り文句を切り返すことに必死になります。
なかには切り返す方法が分からず、諦めて電話を切ってしまう人もいることでしょう。
アポイントや成約はお客様の断りを乗り越えた先にあります。
本記事では、テレアポや営業で活用できる切り返しトーク(アウト返し)について解説してまいります。
切り返しトーク(アウト返し)ができるようになれば、テレアポや営業の成果も格段に上がるようになります。
●本記事で分かること
✔3つの切り返しトーク(アウト返し)の活用例とポイント
✔切り返しトーク(アウト返し)を使う本当の狙い
テレアポや営業で活用できる切り返しトーク(アウト返し)
テレアポや営業でのお客様の断りには2種類あります。
2種類の断り文句
・曖昧な断り
・明確な断り
まず、どちらの断りなのか見極めることから始まります。
2種類の断りについては『テレアポや営業で断られる時の対処方法(2種類の断り文句を見極める)』で解説しています。
「曖昧な断り」を対処することで、お客様が断る本当の理由を探ることができます。
本当の理由を適切に対処することでテレアポであればアポイントに、プレゼンであれば成約につながるわけです。
この「曖昧な断り」に有効な対処方法が切り返しトーク(アウト返し)になります。
切り返しトーク(アウト返し)を身に付けることができれば、何度もくる「曖昧な断り」をその都度跳ね返すことができます。
そして本当の理由にたどりつくことができます。
コールセンターでは「アウト返し」、保険業界では「反対処理」と言ったりします。
3つの切り返しトーク(アウト返し)
テレアポや営業で活用できる切り返しトーク(アウト返し)には主に3つあります。
繰り返しますが、切り返しトーク(アウト返し)は「曖昧な断り」を乗り越えるために使います。
切り返しトーク(アウト返し)
●イエス・バット法
●ブーメラン法
●事前反対処理
お客様からの「曖昧な断り」をこれら3つ切り返しトーク(アウト返し)を駆使して対処していきます。
イエス・バット法
難易度 | ★★★★ |
効果 | ★★★ |
相手の断り理由を「Yes」で受け止めてから、「But」で切り返す方法です。
アポイント設定で「忙しい」と断られた場合を例に紹介します。
そうですよね!
この時期は御社であれば一番のピークシーズンですものね。
実は、先ほどお伺いしたところでも最初は忙しいよって言われたのですが、
少しだけお話聞いていただいたところ、それは面白いねって言っていただけたのです。
ただ、ご安心ください!私の話そこまで時間かかりません。
短い時間で結構ですので、是非一度、話を聞いてご判断いただきたいのです。
そういった観点でお時間頂けるとしたら、今週と来週どちらがご都合よろしいですか?
お客様の「忙しい」という断りを受け止めてから、再度アポイント設定に切り返します。
ポイントはお客様の断りをしっかりと受け止めることです。
よく、「イエス・バット法」を使っても、全然効果がないと言う人がいます。
それは、お客様の断りの受け止め方が弱いのです。
自分ではしっかりと受け止めているつもりでも、意外と相手からは受け止めてもらっていないと感じられています。
「Yes」が弱いと、その後の「But」で相手は否定されたと感じてしまいます。
これでは逆効果で、相手との関係性が悪くなってしまいます。
「イエス・バット法」は正しく使えないと諸刃の剣になってしまうのです。
相手に否定されたと思われないように、まずは相手の断りをしっかりと受け止めることがとても大事です。
「イエス・イエス・イエス・バット法」や「ビッグイエス・スモールバット法」など言ったりする人もいます。
「イエス・バット法」は簡単そうに見えて、難易度が高い切り返しトークなので、使えるようになるまでには練習が必要です。
ポイント
・相手の断りをしっかりと受け止める共感すること
・すぐに「But」に移行しないこと
ブーメラン法
難易度 | ★★★ |
効果 | ★★ |
相手の断りの理由をこちらのオファーの理由に変えてしまう方法です。
アポイント設定で、競合他社のサービスを既に使用していて「間に合ってます」と断られた場合を例に紹介します。
流石ですね!
既にご利用されていらっしゃるのであれば、もうご安心ですよね。
実は、弊社のサービスって既にご利用されている方にこそ喜んでいいただいているのです。
ただ、ご安心ください!すぐに変えましょうという話ではありません。
何故、他社を利用していた方に喜んでいただけたのか、その理由だけ皆様にお話させていただいているのです。
そういった観点でお時間頂けるとしたら、今週と来週どちらがご都合よろしいですか?
お客様の断りの理由が他社のサービスを利用していることでした。
この断り理由を会う理由に変えています。
⇒「他社のサービスを利用している方こそ、役に立つお話です」
ポイント
・相手の断りをしっかりと受け止める共感すること
・断り理由をこちらの目的の理由に変える
事前反対処理
難易度 | ★★ |
効果 | ★★★★ |
相手の断りの理由を予想して、断られる前に潰していく方法です。
アポイント設定で、「忙しい」と断られることを予想した場合を例に紹介します。
○○さん(お客様)であれば、バリバリお仕事されているでしょうからお忙しいかと思います。
ただ、私、今までたくさんの方とお会いしてきましたが、お仕事できる方って、忙しい時こそ時間作るの上手なんですよね。
もちろん、○○さんもとってもお忙しいと思いますので、長い時間いただこうとは思っていません。
短い時間で結構ですので、一度お話を聞いていただきたいのですが、
今週と来週でしたら、どちらがご都合よろしいですか?
「イエス・バット法」や「ブーメラン法」では切り返しきれないと場合や、この断りがきたら嫌だなと感じた場合に、活用する切り返しトーク(アウト返し)です。
お客様の断りを受けたくない場合の切り返しトーク(アウト返し)なので、断り文句を言われる前に使わなければなりません。
しかし、あまりに早い段階で使うと、お客様の記憶から忘れられてしまうので、断られる直前に使うことで効果を発揮します。
アポ取りであればアポイント設定の日時をせまるタイミングの前に使うのがベストです。
ポイント
・お客様と話す前に事前に断られる理由を予想しておく
・お客様の断りの直前に使う
切り返しトーク(アウト返し)を使う本当の狙い
お客様からの「曖昧な断り」は何度あるかは分かりません。
しかし、同じ断り方をしていると、「それさっき言ったことと同じじゃない」と思われてしまいます。
そう思われないように「曖昧な断りの」対処パターンを複数用意しておく必要があるのです。
切り返しトーク(アウト返し)はお客様の「曖昧な断り」の対処方法として紹介してきました。
その通りなのですが、実は真の狙いは別にあるのです。
ここまできて、切り返しトーク(アウト返し)を使う狙いは別なの?
今までの解説はウソだったのか?
いいえ、ウソではありません。
切り返しトーク(アウト返し)はお客様の「曖昧な断り」の対処方法として間違いなく有効です。
しかし、切り返しトーク(アウト返し)を活用する真の狙いを理解していただければ、更に有効なものになります。
それは、
空気をかき混ぜることです。
空気をかき混ぜる?
よく分からないですよね。
「曖昧な断り」をするお客様の心理を想像してください。
『テレアポや営業で断られる時の対処方法(2種類の断り文句を見極める)』でも解説しました。
曖昧に返答するお客様は
「断りたくない」
「人を傷つけたくない」
「自分が悪者になりたくない」
という心理が働いていると解説しました。
こういった心境のなかで相手は断っているのです。
曖昧な断りをしたお客様には「ちょっと気まずい」という気持ちがあります。
お客様にとっては「場」が気まずくなっているのです。
あなたは気まずい空気を感じていなくても、お客様のなかでは気まずい空気を感じているのです。
この気まずい空気をかき混ぜてあげることが真の狙いです。
空気をかきまぜることができるのであれば、「イエス・バット法」や「ブーメラン法」どちらを使っても構いません。
気まずい空気が変わったことでお客様も安心するのです。
【まとめ】 テレアポや営業で活用できる切り返しトーク(アウト返し)
お客様の断りに適切に対処するポイントはお客様の断りの本当の理由を理解することです。
これを理解したうえで、切り返しトーク(アウト返し)を使わないと効果がありません。
よく分かっていない方は『テレアポや営業で断られる時の対処方法(2種類の断り文句を見極める)』を何度も読み込んでみてください。
このことを理解してこそ、効果を発揮できる手法です。
特に「イエス・バット法」は全然使えないと言う人もいます。
それは使えないのではなく、使えきれていないのです。
お客様の心理状況を理解していないで使うと、全く逆効果なのです。
お客様の断りの理由を見極め、正しく使えば非常に有効な切り返しトークとなります。
初めてテレアポや営業をする方にとっては、どんな断りがあるのか予想できません。
でも、安心してください。
最初から、すぐに切り返せる人ってなかなかいません。
私も、最初はお客様の断りに「分かりました」と言って、一度も切り返せずにいました。
しかし、断られた都度、その断り理由をメモして、同じ断りがきたときに、切り返しできるトークを考えて準備しておけば次の対策となります。
考えた切り返しトークがいまいち効果がなければ、別の切り返しトークを考えます。
こうして断り文句の材料を少しずつ集めていきます。
時間がかかるかもしれませんが、ある程度データが集まれば、予めスクリプトの中に仕込んでおくことができます。
そして、次第にお客様の断りを乗り越えていくようになるのです。
私は今まで2つの会社で働いてきました。
最初の旅行会社では旅行を検討していた人にはアポイントがとれましたが、検討していない人からのアポイントは一度もとることができませんでした。
その後、生命保険会社に転職し、不思議なほどたくさんのアポイントを獲得することができました。
生命保険の世界では「検討している」、「興味ある」、「話聞きたい」と言われることは皆無です。
「入ってるからいい」、「興味ない」、「いらない」、「嫌い」と言われることが多く、そのなかで、切り返しトークがあったからこそ活動できたのです。
「イエスバット法」、「ブーメラン法」、「事前反対処理」を使いこなすことができれば、テレアポや営業での成果が格段に上がります。
しかし、身に付けるには、何度も何度も練習しなければなりません。
私は仕事をしていない時でも、日常から切り返しトークを使うように意識してきました。
会社の同僚と話すときや、プライベートで友達や家族との会話。
仕事中だけでは、いざという時に口からうまく出てこないからです。
話し方やトークは日常から習慣づけなければ、いざというときにスムーズにできるようになりません。
私は今では反射的に切り返しトークができるようになりました。
一度身に付けると、永久に使えるテクニックになります。
仕事以外でも使える場面はあります。
例えば、気になる女性を誘う時にはとても有効です。
女性の場合、誘いに乗ってもいいと思っていても、軽いと思われたくないので、一度断ることがあります。
そんな最初の断りを「イエス・バット法」や「ブーメラン法」で切り返すと、うまくいくものです(笑)。
仕事やプライベート、人との関わりのあるなかでコミュニケーションはあらゆる場面で求められます。
そんな人と関わる社会で生きていくなかで切り返しトーク(アウト返し)は有効なテクニックとなるのです。