旅行会社に就職してから退職まで│13年間の勤務経験から感じたこと

旅行会社に就職してから退職まで│13年間の勤務経験から感じたこと

私が大学を卒業して就職した会社は大手の旅行会社でした。

 

入社して携わった業務も様々です。

 

筆者Takeが携わった旅行業務

店頭でパッケージツアーや航空券の販売と手配

出張手配の管理

パッケージ旅行の企画

旅行サイトの運営管理

広告運用

社員旅行の営業と手配

添乗

 

Take
私が旅行会社に就職してから退職まで13年間勤務して感じたことを紹介しています。

 

旅行会社は今も昔も人気の職業です。

 

これから旅行会社で働いてみたいけど、実態はどうなっているのか?

 

旅行会社について気になるという方の参考になればと思い、やってて良かったことやストレスに感じたことなど具体的に紹介しています。

 

全部読むと10分ほどかかるので、目次から興味あるところをピックアップしてご覧ください。

 

筆者プロフィール

Take

大手旅行会社で13年間、外資系生命保険会社に2年間勤務し、現在はフリーでテレアポ代行、メディア運営、Web制作を中心にパレルワーカーとして働いています。

 

目次

旅行会社就職の志望動機

旅行会社就職の志望動機

 

私が就職先として旅行会社を選んだ志望動機は「旅行が好き」、これだけです。

よくある単純な志望動機ですよね。

 

因みに「旅行が好き」だけの理由で旅行会社に就職するのは危険です。

その理由は後述で解説します。

 

私が入社した2000年代始めの頃はインターネットの情報も普及していません。

その他の業界について情報収集できなかったことで、他の業界のことがさっぱり分からなかったこともあります。

 

とりあえず、好きなことや今まで経験してきたことを活かせる仕事をしようと、旅行とアパレル業界に絞って就職活動をしていました。

 

当時は就職氷河期の真っただ中で、書類選考や面接で落ちまくっていました。

 

そんななか、1社だけ内定をもらい、その会社が13年間働くことになるのです。

 

旅行会社勤務│店舗販売【入社1年目~6年目】

旅行会社勤務│店舗販売【入社1年目~6年目】

 

勤務地や配属先は入社式の後に決まり、都内の大型店舗が私の配属先でした。

 

店頭で海外旅行のパッケージツアーや航空券の手配が主な業務です。

お客様から旅行の相談を受けて、旅程を考えながら、ツアーや航空券、ホテルなど提案しながら手配していきます。

 

当時はまだインターネットによる手配がない時代でしたので、お問い合わせは来店または電話のどちらかとなります。

 

入社してからの数ヶ月は全体研修と合わせて、一人の新人にベテランの先輩社員がマンツーマンで付くOJTの教育が中心でした。

※OJT(On-The-Job Training)とは実務をしながら行う従業員の職業教育。

 

この時期は、とにかく仕事を早く覚えて、先輩に頼らず一人で仕事ができるようになりたい思いで必死になっていました。

 

1日の勤務スケジュール

当時の1日のスケジュールです。

08:45 出社(朝の宣伝活動のない日は09:20)
09:00~09:30 朝の宣伝活動(週1~2回)
09:30~09:45 営業の準備
09:45~10:00 朝礼
10:00~19:00 店舗の営業時間
19:00~ 営業報告
残業(その日の業務処理と翌日の準備)※研修の日もある
21:00~終電ギリギリ 帰社

 

営業目標達成のために毎日必死でした。

目標を達成できなければ、上司から厳しく叱責されます。

 

営業時間内は1件でも多くの予約を獲得することに専念し、予約後に必要な業務は営業時間終了後にしていました。

 

こんな仕事の進め方ですので、当然、毎日遅くまで残業です。

 

1年目で慣れないところもありますが、とても効率の悪い仕事の進め方です。

周りの社員を見ても同じような状況です。

 

こうして徐々に、残業があたり前の働き方になっていくのです。

 

 

残業代が出ない

残業代が出ない

 

私は毎日21時過ぎまで仕事をしていたが、勤怠上は10:00~19:00(休憩1時間)の8時間労働ということで処理されていました。

 

残業代が一切出なかったのです。

 

これはちょっとおかしいと思い、人事部に直接聞いてみたのです。

 

すると、当時の人事部長から言われた衝撃の一言が・・・

人事部長

今はこんなところに時間を使っている場合じゃないだろ!

新人なんだから仕事を覚えることが優先じゃないのか!

それに証拠はあるのか!?

Take
そんな・・・

 

残業を申請する書類はあったのですが、残業時間0と書くように指導されていたので、証拠が残っていません。

 

残業時間に行われた業務処理と翌日の準備は「営業時間内にできなかったあたなが悪い」と言われ、営業時間後の研修については「自主的に参加しているんだろ」と言われる始末。

 

会社による完全犯罪が成立?!

 

これが社会の厳しさがと思いつつ、これ以上ヤケになってもしょうがいないので、諦めて仕事を頑張ることにしました。

※現在は改善されています。

 

 

目標ノルマ

どの仕事でも営業職であれば目標ノルマがあります

 

私の勤めていた会社では、旅行の予約者数を月ごとに設定した営業目標がありました。

 

目標ノルマを達成しなければ、上司からの厳しいプレッシャーを受けることになりますので必死です。

 

私の部署で取り扱う旅行商品は単価の安いものが中心に売れていたので、販売が下手でもある程度は予約に繋がります。

目標を達成するには提案力や販売スキルより、仕事の効率性や業務処理のスピードが重要となります。

 

今振り返ると、ポータブルスキルはほとんど身につかない仕事です。

効率よく仕事するスピード意識だけは付いたのかなと思います。

 

この時代はとにかく安いツアーや航空券をセールなどで前面に押し出し、各旅行会社が旅行者のパイを取り合う戦国時代のような状況でした。

 

 

世界情勢に左右される

世界情勢に左右される

 

旅行業界は世界情勢に左右されます。

 

海外で戦争や災害が起これば、世間は旅行を控えます。

 

また、生活において旅行は必ずしも必要なものではないので、経済状況が悪くなると旅行に消費する優先順位がどうしても低くなります。

 

これにより、ボーナスも年によって大きく変わります。

毎年、世界が平和であること、景気が良くなることを願っていました(笑)。

 

私が最初に経験した大きな打撃は2002年11月。

 

中国で流行したSARS(重症急性呼吸器症候群)が大流行し、旅行業界に大きな打撃を与えました。

 

その時、私が担当していたエリアが中国。

 

就職して1年目だった私は日々の予約の大半が新規のお客様で占めていました。

SARSが日本で話題となってからは、中国が担当エリアということもあって日々の予約数は0。

 

そして、予約済みのお客様は全てキャンセル

 

毎月の目標ノルマは100前後の予約数ですが、目標には全く届かず、予約数が月で一桁の時期もありました。

 

 

個人リピーターの重要性

個人リピーターの重要性

 

厳しい情勢のなかでも、ベテランの先輩社員を見ていると、目標ノルマに近い数字を出していました。

 

ほとんど新規の予約がない状況なのに、どうやって数字を作っているのか聞いてみたところ、リピーターのお客様から出張手配の予約を獲得していたのです。

 

出張手配は仕事なので、リフレッシュや思い出作りの旅行とは違い、世間が旅行を控える状況でも渡航しなければならなかったりします。

 

担当個人にリピートして頂くリピーターの重要性が分かってから、どうやってリピーターが付くようになるのか考えました。

 

そして、接客意識に変化が生まれたのです。

 

例えば、以前に手配したお客様であれば、前回の手配内容をチェックします。

前回の飛行機の座席が通路側であれば「今回も通路側でよろしいですか?」と気遣ったり、予めマイレージ番号を登録しておいたりしました。

 

「この担当者はこちから言わなくても分かってくれる」と思ってもらうような対応を心がけることで、少しずつですがリピーターが増えていきました。

 

 

部署内でリストラ

中国で流行したSARSの影響により、私の部署の成績は深刻な状況となり、部署の人数を減らすことになりました。

 

毎月の目標ノルマには程遠い数字で部署内でもビリだった私は当然のごとく対象となりました。

グアムエリアの部署へ異動となったのです。

 

大企業の中の一つの部署での状況だったので、部署異動で済みましたが、これが会社規模の出来事であればリストラです。

 

 

新人時代に担当していた中国エリアからグアムエリア、その後はヨーロッパエリアと部署を転々としました。

これまでの担当エリア

1年目~ 中国エリアのパッケージツアーと航空券の販売
2年目~ グアム・サイパンエリアのパッケージツアーの販売
3年目~ ヨーロッパ・中近東エリアのパッケージツアーと航空券の販売

 

年次を重ねると、気持ちにも少し余裕が生まれ、仕事の楽しさや業務の醍醐味を感じ始めます。

 

販売職を通じて、自分の提案や手配でお客様に喜んでもらえることをやりがいと感じるようになってきたのです。

 

販売職の仕事で感じたやりがい

お客様の要望に応えた提案ができたとき

お客様が旅行に満足して喜んでくれたとき

お客様からお礼のお手紙をもらったとき

2度目の手配時に指名される(自分のリピーターになってくれる)

 

旅行会社に限らず、サービス業に共通して言えることは、人に喜んでもらうことに満足感を感じることができるかどうかです。

 

旅行会社の仕事は自分が旅行を楽しむわけではありません。

 

ハードな仕事で給与面も良いわけではないので、人に喜んでもらうことで満足感を得らない人は続けてもつらいだけかなと思います。

 

実際、入社して1年以内に辞める人は多いです。

 

旅行会社の業務は営業や販売に携わるケースが多いですが、業務はこれだけではありません。

航空券の手配業務やホテルの手配、海外支店との連携、企画、マーケティング、広報など業務は多岐にわたります。

 

営業や販売業務以外で仕事のやりがいを見つけていきたいという方にとっては、別の業務の道もあるのが大手旅行会社の強みです。

 

 

新設部署への公募

パッケージツアーと航空券の販売に少し飽きていた頃、社内で新しい部署が新設されました。

 

海外の特殊な航空券を扱う部署です。

 

通常、海外の航空券と言えば、日本から海外までの航空券(例:成田―ロサンゼルス)ですが、新しい部署で取り扱う航空券は海外から出発する航空券(例:ロサンゼルス―成田)です。

 

●海外発日本行航空券(海外⇒日本)

日本の企業が現地から招待するために日本側で手配する需要がありました。

例. ロンドンから成田まで、サンパウロから成田まで

 

●海外発海外行航空券(海外⇒海外、または外国の国内間の移動)

マイレージで日本からの往復航空券所持している方が手配する重要がありました。

例. パリからロンドンまで、ロサンゼルスからラスベガスまで

 

好奇心旺盛な性格だったので、当時誰もやっていなかった仕事に興味を持ち、すぐに社内公募を出しました。

 

あまりに特殊の業務で変わり者しかやらないだろうなという雰囲気もあってか、その部署への異動希望は会社内で私だけでした。

簡単に希望が通ったのです。

 

 

新設部署のスタートは困難の連続

新設部署のスタートは困難の連続

 

どの仕事でも言えることだと思いますが、新しい試みというのは困難の連続です。

 

通常、航空券というのは日本の旅行会社であれば日本で発券をします。

航空券の料金や空席状況はリアルタイムで確認できます。

 

しかし、当時は海外発のディスカウント航空券の発券の前例がなく、基本的に出発地の国で発券をしていました。

航空券の料金や空席状況は発券する国で確認しなければならなかったのです。

 

今の時代と比べてインフラの整備が整っていなかったので、現地の手配先とのやりとりはメールです。

 

メールの返信内容がこちらの意図と違っていれば再度メールします。

時差があるので、返答は翌日以降になります。

 

問い合わせから手配までの流れが非効率で時間がかかりました。

緊急時は電話しますが、国際電話なので電話ばかり使っていると電話代だけで月に数十万円かかります。

 

日本とは時差もあります。

国によっては働き方の違いもあり、現地支店の営業時間外は一切対応してくれなかったりしますので、こちらが現地時間に合わせて深夜や早朝対応することもあります。

 

また、航空券も今のように電子航空券ではなくペーパーチケットの時代。

現地で発券した航空券を搭乗者に渡すのも四苦八苦でした。

 

日本に郵送してもらう途中に紛失したこともありました。

航空券は金券ですし、紛失となれば大騒ぎです。

 

損害を出した場合に会社へ提出する始末書兼反省文は毎月書いていたと思います。

 

部署設立当初は試行錯誤を繰り返しながらなの業務でした。

 

 

集客経験がビジネスマインドの原点になる

集客経験がビジネスマインドの原点になる

 

新設部署では常に集客のことを考えます。

 

会社が大きかったので、まずは社内告知だけで、会社内で認知させていくことから始めました。

部署内の広告予算もなかったので外部広告にお金をかけられません。

 

全国に多くの支店があったおかげで、社内間の口コミや紹介などで徐々に認知されていき、お客様からの問い合わせも増え始めました。

 

問い合わせ数は日に日に増し、予想以上のお問い合わせ数で、電話が鳴りやまない日が続くようになりました。

 

手配内容は他の旅行会社でやらない海外発航空券の手配ということもあり、需要に対して供給側が追いついていない状況でした。

 

利幅を上げて航空券の値段を上げますが、それでも問い合わせは増え続けます。

部署の数字は毎月増収増益でした。

 

「面倒で誰もやらないところにビジネスチャンスがある」

 

この頃の経験で得た視点が今の私のビジネスマインドの原点です。

 

 

旅行会社勤務│営業所長【入社7年目~10年目】

旅行会社勤務│営業所長【入社7年目~10年目】

 

新設部署に配属されて数年が経ちました。

 

当時の上司であった営業所長が海外支店へ異動することになり、その後の所長を私が務めることになったのです。

 

経験が浅くてもマネージャーになれるのは販売職の特徴です。

 

20代後半だった私ですが、出世願望が強かったわけでもなく、特に所長になることを希望していたわけでもありません。

これまでの実績と業務の姿勢が評価されての任命だったので、素直に嬉しく、モチベーションは上がりました。

 

 

マネージメントスキルの不足を痛感

営業所長は営業所の数字を作ることが任務です。

 

お問い合わせを増やすことや業務の効率化、利益アップなど、あらゆることを考えるようになります。

 

海外発航空券は世の中の需要に対して、供給がまだまだ追い付いていない状況だったので、数字は右肩上がりの伸び続けました。

伸び続ける数字に伴い、人員も増やしていきました。

 

部署の人員が10名を超えてきた頃、部下のマネージメントに苦労することになります。

 

 

私は自分がやってきたことを教えていけば、部下も自分と同じような結果を残してくれると思っていました。

 

しかし、全員が同じように動いてくれるわけではありません。

思うような結果にならず、無理な指導もあったせいで、部下との関係も悪化してきてしまいました。

 

自分のやり方を押し付けているだけでは全くダメです。

組織のマネージメントの難しさを痛感しました。

 

 

新しい企画に挑戦

新しい企画に挑戦

 

部署の数字は伸び続けてましたが、いつかはこの勢いが止まるだろうと思っていたので、新しい企画に挑戦することを考えていました。

 

新しいことに挑戦したいと会社に直訴するには数字の良い時がチャンスだと思っていました。

上司も人間ですので感情で動く部分もあるはず。

了承してくれそうなタイミングを虎視眈々と狙っていたわけです。

 

ファッションが好きだった私は休暇を利用して海外旅行に出かけていました。

そこで海外の服や雑貨の買い付けをして日本で販売をしていたのです。

 

当時は副業という言葉も世の中に浸透していなかったので、小遣い稼ぎの感覚でした。

 

これがメチャクチャ楽しかったので、ツアーにしたら参加してくる人はいるはずと根拠のない自信がありました。

 

通常、新規ツアーの立案は企画の部署が担当するのですが、誰もこんなツアーが売れるとは思っていなかったので、私11人でやることになりました。

 

私の上司も新しい挑戦を応援してくれていて、自由にやらせてもらうことができました。

 

ツアーのプランニング、現地の受け入れの交渉と手配、フライヤー作成、広告、値付けなど、ほとんど1人でやりました。

 

通常業務もやりつつの進行でしたので、休みの日や深夜まで残業しながら準備を進めました。

激務でしたが、好きなことになると不思議なもので、苦痛に感じることなく、時間を忘れ夢中になれたのです。

 

ツアー参加者数はそこそこでしたが、利益率の高いツアーでしたので結果的には大成功でした。

 

好きなことを仕事にすることができるのは幸せなもので夢中で没頭するものです。

結果的に差別化を生み出し、大きな成果を挙げることになりました。

 

この経験から、好きなことや得意なことを仕事にすることは最大限の効果を発揮できるのだと、自分の可能性を知ったのです。

 

 

ボーナス査定に疑問

ボーナス査定に疑問

 

会社では年2回のボーナスがあるのですが、ボーナスの査定に所長も関与します。

部下の生活にも関わる大事な仕事です。

 

当時、私の部署では残業時間に応じた給与査定となっていました。

遅くまで仕事していた人ほど良い成果であるとの考えから生まれた給与制度だったのです。

 

しかし、実際はそうではありませんでした。

 

仕事の進め方が非効率で遅くまで残業している社員もいれば、仕事スピードが早く残業が少なく成績も常に上位の社員もいました。

 

すると、成績が良く残業が少ない社員より、成績が悪く残業の多い社員のほうが給与が良いという状況になっていたのです。

残業時間 成績 給与
Aさん 少ない 少ない
Bさん 多い 多い

 

成績も良く残業も少ない社員は個人で工夫して仕事をしていたので、なんとかボーナスに反映させてやりたいと思っていました。

 

毎月の少ない給与をボーナス査定で帳尻を合わせたのです。

 

査定の結果、ボーナスの支給額が個人差で大きな開きが出ました。

私の狙い通りだったのです。

 

しかし、私の上司である部長が「もう少しボーナスの差を平らにするように」と言ってきました。

 

所長として部下の成績と仕事への取り組みを一番見てきたつもりです。

それなのに根拠もなくボーナスの支給額を平らにするように言われ、思わず頭にきて、舌打ちをしてしまったのです。

 

これが部長の怒りを買い、本社に呼び出されてしまいました。

 

結局、部長パワーにより、ボーナスは大きな差もなく平らにされてしまったのです。

成績下位の社員が、成績上位の社員の年収を上回る現象が起きてしまいました。

 

これが会社というものなのか?

 

優秀な社員が損をする会社の仕組みに疑問を持ち始めたのです。

 

 

部署の成績が下降

部署の成績が下降

 

時代の流れにより、海外出発の航空券も他の旅行会社や航空会社が販売するようになってきました。

 

私の所属していた部署での独占状態の時代に終焉を迎えることになったのです。

 

毎月右肩上がりで伸び続けていた数字が右肩下がりで下降し始めたのです。

なんとか数字を戻そうと、思いつくことは全てやったのですが、力及ばず、数字は落ちていくばかり。

 

所長もそろそろ交代すべきかなと考え始めていた矢先、部署異動の命令が下りました。

 

 

旅行会社勤務│法人営業【入社11年目~13年目】

異動先の部署は法人営業で企業の社員旅行や報奨旅行の提案と手配が主な業務です。

 

店舗営業から法人営業(団体旅行)

店舗営業から法人営業(団体旅行)

 

同じ旅行手配の仕事でも規模や営業方法が大きく変わります。

・個人旅行(1~10名) ⇒ 団体旅行(100名~1000名) 

・店舗営業(BtoC) ⇒ 法人営業(BtoB)

 

 

個人旅行と団体旅行の違い

初めて団体旅行の手配に携わることになったのですが、個人旅行との手配の違いに戸惑いました。

 

団体旅行と言っても、10名の団体もあれば、100名、1000名と、人数規模の違いにより、気を使わなくてはならないポイントもそれぞれ異なるのです。

 

例えば、バスの手配でも10名規模であれば中型バス1台ですが、100名規模となると大型バス3台は必要になります。

1000名規模であれば、いくつかのグループに分けて移動日をずらしたりすることも必要なので、こうした細かい部分を幹事の方と相談しながら決めていきます。

 

旅行内容も社員旅行なのか、報奨旅行なのか、旅行目的によって手配側に求められるポイントも変わります。

 

個人旅行中心に手配していた私には、そこまで気がまわらず、後輩社員に教えてもらいながら覚える日々。

細かな点まで気が利くかどうか、ホスピタリティに配慮した提案や手配が求められたのです。

 

 

店舗販売と法人営業の違い

店舗営業では来店や電話によるお問い合わせでしたが、外営業では自らが訪問して案件を獲得しなければなりません。

 

旅行に興味があってお問い合わせしてくる店舗販売と違い、興味のあるお客様を見つける、もしくは興味付けをしていかなければなりません。

 

企業に飛び込みで訪問しても興味を持って頂かなければ、門前払いです。

 

興味を持って話を聞いて頂いても他社との相見積もりとなり激しい競争が待っています。

大きな案件となれば旅行会社10社以上で争うこともあります。

 

そんな激戦の中から選ばれるには提案内容はもちろんのこと、その提案が魅力的に伝わるようなプレゼン力も求められます。

 

会社の信頼性だけでなく、営業担当個人の信頼性も大事な要素です。

法人営業を始めてから数ヶ月は1件も新規案件の獲得ができず、全てが未熟だったことを痛感させられました。

 

 

店舗営業では慣れない人でも数日で成果が出始めるものですが、法人営業では数日どころか数ヶ月経過しても成果が出ないことがあります。

 

私も例外なくこのパターンで、全く成果が出ずに完全に自信を失いました。

そんな絶望感のなかでも、営業の奥深さに魅了され、営業職により興味を持つようになりました。

 

自分に足りないことを見つめ直し、営業に必要なことを先輩、後輩問わず、盗めることは盗んで学んでいきました。

すると、少しずつですが成果が出るようになってきたのです。

 

 

初めての添乗業務はトラブル続き

 

旅行会社に入社11年目にして、初めての添乗業務を経験することになりました。

 

とある会社の報奨旅行にサブの添乗員として参加します。

旅行先はハワイで約300名の団体旅行です。

※報奨旅行とは会社で優秀な社員を招待する旅行です。

 

旅行の受注が決まったのは1年以上前です。

クライアントとの打ち合わせを重ねて準備するのにこれだけの時間がかかるのです。

 

私はその案件に加わったのは出発の2ヵ月前です。

旅行の行程や手配内容など案件の全てを把握をするのに必死でした。

 

 

そして、出発当日を迎えました。

 

現地到着後もやらなければならない仕事は絶えません。

 

まずはお客様のホテルのチェックインの準備。

300名規模になると一度にチェックインできないので、お客様をなるべくお待たせさせないように時間をずらしながらチェックインしていきます。

 

出発前の綿密な準備をしていても300名ほどの規模になると何かしらのトラブルが起こります。

 

今回の報奨旅行はとあるMLMの会社だったのですが、優秀な成績を収めたトップ3には特別なVIP手配をしていました。

※MLMとはマルチレベルマーケティングの略で、ネットワークビジネスのことを指します。

 

トップ3のお客様をビジネスクラスで手配をしていたのですが、搭乗されたビジネスクラスに満足されていなかったようで、到着後不満の声を漏らしていました。

 

幹事のお客様とは打ち合わせ通りの手配で旅行会社側の手配ミスではありません。

 

手配していた航空会社は日系の飛行機でしたが、シートのグレードに問題がありました。

当時のハワイホノルル線のビジネスクラスは日系の飛行機と米国の飛行機に大きな差があったのです。

 

米国のビジネスクラスはフルフラットシート(180度水平)に対して、日系のビジネスクラスはライフラットシート(180度未満)

 

水平(180度)か、水平でないかのちょっとした違いは、長時間の搭乗で大きな違いを生みます。

快適性が全く違うので、ハワイ到着後の疲労感にも大きな違いがあるのです。

 

また、アニメティにも違いがありました。

米国系は「TUMI」ブランドのアニメティに対して、手配した飛行機のアニメティはノンブランド。

 

このようにエコノミークラスではそれほど差がなくてもビジネスクラスになると航空会社によって大きな違いがあるのです。

旅行会社に携わっていて、飛行機に乗るケースは多いものの、ビジネスクラスに搭乗する経験はほぼないので、盲点でした。

 

手配ミスはなくても知識と気遣いに欠けていたのです。

 

報奨旅行を毎年実施してる会社であれば、リピートしてもらうことは旅行会社として重要です。

しかし、こういった配慮や気遣いが不足していると、リピートして頂けなくなります。

 

もう失敗が許されない状況で、次は宿泊予定のスイートルームのお部屋を営業担当自らチェックします。

 

そして、ここでも準備不足が発覚。

 

通常用意されているはずのウェルカムドリンクやフルーツがなかったのです。

お客様がお部屋に入る前に慌てて買出しに行きました。

 

ホテル側の準備不足が原因でしたが、お客様からすれば旅行会社の準備不足と捉えられてしまいます。

 

添乗中は誰が悪いとかはどうでもよく、お客様に満足してもらうことが全てで、今起きている問題解決が先決です。

 

初日はなんとか乗り切りましたが、2日目以降もお客様のオプショナルツアーの手配や準備があります。

夜は少しだけ自由な時間がとれるので、ハワイの涼しい夜風に癒されながら束の間の休息とることができました。

 

 

そんなこんなでハワイののんびりとした雰囲気とは真逆の慌ただしい添乗業務となりました。

 

団体旅行の手配と添乗業務を通じてサービス業の大事な要素を学びました。

 

添乗業務に大事な要素

気遣い

事前準備

ホスピタリティ

 

この仕事を経験すると、色んな事に気がまわるようになります(笑)。

 

 

地方の支店へ異動

団体旅行の部署に異動してきて1年が経ち、業務にも慣れてきた頃、地方支店へ異動の打診がありました。

 

異動先の地方支店で団体旅行の営業、手配、添乗が主な業務です。

今までやってきた100名以上の大型団体とは違い、10~30名規模の団体旅行が中心となります。

 

その地方支店では新規の顧客獲得が一番の課題です。

旅行代金をどんなに安くしても、昔からの付き合いのある小さな旅行会社を利用する傾向があり、新規案件の獲得には苦労しました。

 

都内で営業していた時以上に何度も足を運び、時間をかけて信頼を築いていかなければなりません。

 

受注した手配についても、部署の人数が少ないこともあり、これまで分担していた仕事も1人でしなければなりません。

出発日が重なるピーク時期には、どうしても残業が増え、休日出社も増えてきます。

 

旅行会社によっては、営業、手配、添乗、それぞれを分業制にしているところもあります。

分業制は効率よくできる反面、全ての業務に一貫して携わるわけではないので、意思疎通の微妙な温度差が生まれ、お客様の満足度に影響することもあります。

 

①お客様の依頼から手配までの流れ
お客様 ⇒ 営業担当 ⇒ 日本側の手配担当 ⇒ 現地の手配担当
②手配依頼した回答の流れ
現地の手配担当 ⇒ 日本側の手配担当 ⇒ 営業担当 ⇒ お客様

 

営業担当が一貫して携わるケースと分業制、どちらもメリットとデメリットがあります。

 

 

営業先の会社からヘッドハンティング

営業先の会社からヘッドハンティング

 

地方支店の仕事も1年が経ったある日、とある企業から社員旅行のお問い合わせが入りました。

 

お問い合わせがあった企業は外資系の生命保険会社でした。

その案件をたまたま私が受けることになったのですが、その後の運命を変える出会いとなることは知る由もありません。

 

お問い合わせのあった企業へプレゼンのために訪問。

私のプレゼンを聞いて頂ける方はその企業の支社長と営業所長です。

 

提案したプレゼンが面白かったようで、いい感触を掴んだ状態で次回もお会いする約束ができました。

その後、打ち合わせを通じて何度かお会いしていくうちに、旅行の話だけでなく、お互いの営業の仕事についても情報交換するようになりました。

 

営業について色々と話を聞いていると、同じ営業職とは思えないほど、営業の考え方やノウハウのレベルが高く、扱う商材が違えど、私が勤めている会社との次元の違いに驚かされました。

 

 

話を聞いていくなかで、将来のことを考えるようになりました。

 

これまで自分の時間の大半を会社に注ぎ込んできました。

仕事のことばかり考えていて、自分の人生観について考えることがなかったのです。

 

「自分は今後どうなりたいのか?」

 

昔の持っていた夢にいつのまにか蓋をしてきた自分に気が付きました。

 

今の会社では、ある程度収入が固定化され、将来の収入も予測ができました。

仕事やプライべートでもできることが限られていくなかで、自然と夢を諦めていたのです。

 

話を聞いているうちに、仕事への考え方、営業の考え方、人生観、こうしたことを考えていきながら生きていきたいと強く思うようになり、入社14年目で退職することを決断したのです。

 

旅行会社を退職してみて【13年間勤務の振り返り】

旅行会社を退職してみて【13年間勤務の振り返り】

 

旅行会社に就職してから退職までの13年間の勤務経験から感じたことを書いてまいりました。

ここまでお付き合い頂きまして有難うございます。

 

ここで紹介した業務はほんの一部です。

旅行会社の仕事は幅広く、様々な経験ができる分野だと思っています。

 

私は旅行会社を退職してから、転職を経て、現在はフリーランスとして活動しています。

旅行会社時代に様々な経験はしてきたものの、転職先やフリーランスで活用できるポータブルスキルは意外に少ないかなと感じています。

 

ポータブルスキルはどの業界でも個人が成果を発揮するための強力な武器となります。

 

もし、あなたが旅行会社への就職を考えているのならば、旅行会社に必要なポータブルスキルを身につけておくことをおすすめします。

 

当ブログでは、旅行業界の仕事や働き方について感じたこと紹介していきたいと思います。

このブログが旅行業界に興味ある方、旅行業界で悩んでいる方のお役に立てれば幸いです。

 

 

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